『なぜ彼女はブランドを立ち上げたのか?』ーForbes記事
本ブログはForbesに掲載されたEsha Chhabra氏の記事、
を翻訳したものです。
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『なぜ彼女はブランドを立ち上げたのか?』
LHAMOUR創業者Khulan Davaadorj(フーラン・ダヴァドルジ)
Khulan Davaadorj(フーラン・ダヴァドルジ)は、コロンビア大学でエネルギーと環境問題を学び、アメリカとヨーロッパで働いた後、2012年帰国しました。モンゴルに帰国時、フーランはまるで別の世界に戻ってきたように感じました。モンゴルの首都ウランバトールは、環境問題による大気汚染が悪化していたためです。彼女は、彼女自身の健康問題と闘うだけでなく、農家や地元の製造業者に利益をもたらす地元経済を構築するために、ナチュラルビューティーブランドを立ち上げました。
「私は、アメリカとヨーロッパで長年暮らした後、モンゴルで最初の風力発電会社で働くために帰国しました。帰国後、大気汚染、水質の悪さ、極端な気候などの外的影響により、徐々にアレルギーを発症し始めました。それまではアレルギーを経験したことがなく、皮膚の発疹が日常生活に大きな影響を与えたため、ショックを受けました。」
フーランは2014年に自己資金でLhamour(ラムーア)を設立し、現在は世界中で販売されています。ラムーアは、彼女にとって単なるビューティーブランドではありませんでした。
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「ラムーアは、使用する原材料からはじまり、雇用や地域社会・環境への還元に至るまで、あらゆる段階でモンゴルから世界にポジティブな社会変革を起こすことに取り組んでいます。」
「何もしないで、誰かが来て問題を解決してくれるのをただ待つこともできます。しかし、私たちは同じ地球に住んでいて、同じ24時間が与えられています。なぜ自分達自身でアクションを起こさないのでしょうか?私たちは、私たちが住みたい世界をつくり、それを未来の世代へつなげていきたいと考えています。アクションを起こすことで、他の人々に自分たちも同じようにできることを知ってほしいのです。」
モンゴルの若い女性起業家として挑戦するなか、フーランは多くの人々から彼女の能力とビジョンに関して疑問を投げかけられました。
「多くの人が製品を見て、次のようなことを言いました。『あなたが人生のほとんどを海外で過ごし、様々なことを勉強してきたのは、ただのリップクリームやボディオイルを作るためだったの?』、『あなたは奨学金でコロンビア大学を卒業したのに、なぜそんな小さなビジネスに集中しているの?もっと規模の大きいプロジェクトを行ったらいいのに。』」
しかし、彼女は諦めませんでした。彼女は、モンゴルで必要な原料を調達するために遊牧民と農民のユニークなサプライチェーンを構築しました。現在、ラムーアは40種類以上の原料を使用しています。一部はモンゴルの企業から仕入れていますが、家畜を営むモンゴルの遊牧民を直接支援することにも熱心に取り組んでいます。成分の3分の2以上はモンゴルから、残りは海外から輸入しています。
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原料には、ヤクの乳、山羊の乳、羊の獣脂など、モンゴル独特の素材が含まれています。
「私たちは、モンゴルの伝統的な古代の療法をベースにしつつ、今の時代にあった製品を製造したいと考えています。したがって、特定の動物性脂肪も使用しています。それは、私たちの祖先や遊牧民が何年にも渡って使用してきたものだからです。たとえば、大自然のなかで暮らすモンゴルの遊牧民は、特に赤ちゃんや高齢者の湿疹、皮膚病、発疹を和らげるために、獣脂と羊の尾の脂肪油を何年も前から使用しています。」
近年は、アメリカやヨーロッパの一部のお客様は動物性の素材を使用した製品を控える傾向にあります。その要因のひとつとして、動物の扱い方が関係していると考えています。
「モンゴルの羊はすべて大草原で自由に暮らしており、何の制限もされていません。彼らは最も新鮮な草を食べます。モンゴルの草には薬効もあると言われています。」
特にモンゴルの羊は特徴的です。冬の気温がマイナス30度まで下がることも多いなか、モンゴルの羊はこの極寒の気温にも順応しています。
「モンゴルの羊はすべての栄養とビタミンを貯蔵しており、世界のすべての羊の中で最も大きいの尻尾を持っています。」
「そのため、モンゴル人は尻尾の脂肪を料理やスキンケアに使用します。尻尾の脂肪には、天然コラーゲンと必要なすべての栄養素が含まれています。羊の尾の脂肪油に加えて、獣脂は豊富な栄養素、必須脂肪酸、抗酸化物質を含んだ強力な保湿剤でもあります。それらは栄養があり、ヒトの皮脂と調和して働く脂質が多く含まれています。したがって、これらの脂肪を使用することは、他の植物由来のオイルよりも実際に人間の肌に適している場合もあると私たちは信じています。」
高地で育つシーバックソーンは、モンゴル特有の植物で、ハンドクリームやボディクリームなどの製品に含まれています。オメガ7脂肪酸が豊富で、世界的にも高価な美容成分として人気があります。
このように社会的使命を持った原材料の調達は、多様なビューティーマーケットのなかで差別化できるポイントになると考えています。
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2016年には、ブランドの成長に伴い、モンゴル最大のモールであるシャングリラモールに最初の旗艦店をオープンしました。
「これはスタートアップとしての巨額の投資であり、大きな前進でした。私たちのビジョンを真に反映し、国際的なブランドとして成長するための良い機会を与えてくれました。この店舗は現在も、顧客とのコミュニケーションを良好に行うための重要なツールとなっています。」
2017年、彼女は先を見越し、香港の販売代理店を通じて販売を行いました。それ以来、彼女はタイ、台湾、オーストラリア、米国、クウェートに事業を拡大しています。
「実は、現在タイで販売代理店事業を行っている方は、最初はお客様として私たちの製品を使用してくれていました。そこから製品やブランドを理解しファンになってくれたことで、現在はタイでラムーアを広めてくださっています。これはとても光栄なことでした。 モンゴルで私たちが行っていることは、単にスキンケアとしてだけでなく、それぞれの目的も含めて世界中の人々の生活に影響を与えています。」
彼女の活動の影響は少しずつ表れ始めています。ヤギの乳とヤクの乳を彼女に供給する遊牧民は当初、モンゴルでそれらの原料を使用している企業がほとんどなかったため、取引を躊躇していましたが、現在は安定した収入を得ることができています。
「Lhamourのビジョンは、チェンジメーカーになり、次世代のためにより持続可能な未来を創造することです。」と彼女は繰り返します。